平賀 譲

Jyo HIRAGA

1878-1943

 

 

 

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  はじめに
  平賀譲ほど技術者・教育者として近代日本を体現した人物はいないであろう。
昭和12(1937)年11月4日戦艦大和は起工する。排水量6万9100トンは人類が建造した最大の戦艦であった。平賀こそ近代日本の技術の粋たる戦艦大和を初めとする旧日本海軍艦艇設計の中心にいた技術者である。明治維新時に極東の一後進国であった日本が80年で世界最大の戦艦を建造するまでの技術力を蓄積したと言うことは驚くべき事実である。 平賀はまた,東京帝国大学総長として戦争に傾く時代のなかで,ひたむきに大学の自治を守り抜こうとした人物でもあった。
平賀譲を知ると言うこと,それは近代日本の奇跡とも言える成長を可能にした技術者・教育者の精神に触れることである。本サイトでは平賀譲について紹介する。
   
ジュニアTAプロジェクト『平賀文書の整理』について
  東京大学には「平賀文書」と呼ばれる平賀譲の残した資料がある。平賀が計画した艦艇を中心とする計画資料(計画書、報告書、意見具申書、計算書、図面、データブック)のほか海外視察報告、雑誌記事スクラップ、参考図書、日記、書簡など膨大な量にのぼる。これらの史料の存在を聞き、こういった価値ある資料を眠らせておくのは惜しいと考えた東京大学学生の6人が有志で集まり、平賀文書をデータベースにし、許可される範囲で慎重に公開・管理していくプロジェクト、それが『平賀文書の整理』プロジェクトである。
   
メンバー紹介
  ジュニアTAのメンバーとなる6人を紹介する。プロジェクトをはじめるにあたり、軍艦総長平賀譲(内藤初穂著、中公文庫)を読んだ。自己紹介代わりに、本の感想を示す。
 
名前 所属
石田 圭輔 東京大学大学院工学系研究科システム量子工学専攻 修士1年
本の感想 非常に保守的なアプローチの仕方を技術においても、大学経営においても行ったと思われる。また、常に彼は戦場に身を置いており平時との境目が感じられなかった。しかしながら、どんなことがあっても信念を曲げなかったところが非常に魅力的である。私の中では技術的評価はあまり高くないが、人間のありようとしてすばらしいと感じた。
井上 幸一 東京大学大学院新領域創成科学研究科環境学専攻 修士1年
本の感想 この本を読むまで平賀譲という人物の存在を知らなかったので、こういう人が東大の総長、また一応学科の先輩にいたということを知って新鮮だった。造艦技術者としての平賀は職人気質という印象で、優秀な造艦技術者であったことがわかったが、やや堅実に過ぎるようにも思った。軍人としての平賀よりも、むしろ東大教授、東大総長としての平賀のほうに強く惹かれた。戦時中でも教育を重視する姿勢、学生たちに対する愛情などこの本を読んで軍人よりも教育者・研究者のほうが向いていたのではないかと感じた。
尾石 航 東京大学大学院新領域創成科学研究科環境学専攻 修士1年
本の感想 優秀な技術者の姿と、熱心な教育者の姿。ともに魅力的ではあるが、現代の私たちの目には、両者は矛盾しているように映る。戦争技術の最前線で半生を過ごした人物が、戦地への学徒動員を受けて何を思ったのか、本当のところは定かでない。ただ、彼こそ晩年この矛盾に苦しんだ悲劇的な人物だったのではないか、というのが私の悪趣味な空想である。
鬼城 渉 東京大学大学院工学系研究科精密機械工学専攻 修士1年
本の感想 平賀譲の生き方を知ることで、エリートはかくあるべきと言う姿が見えてくる。ひたむきな努力と、国家の将来を担うものとしての自覚。また技術者として教育者としてかたくななまでの保守主義を貫く姿は、現代という変動の激しい時代において生きるものとしても見習うべきところが多い。自分も平賀までとは行かないが何らかの形で国を支える自覚を持った仕事をしたいと思った。
坪内 孝太 東京大学大学院新領域創成科学研究科環境学専攻 修士1年
本の感想 本を読み、私が描いた平賀譲は、とても自分に自信を持ち、白黒はっきりしている生き方を持って最後まで生き抜く冷静沈着な部分と、部下や生徒を愛し人情味あふれる部分を兼ね備え持っている人物である。
まさに、私が理想とする人間像であるが、どこか歴史上の人物と言う感覚が否めない。本プロジェクトを通して、小説からは読み取れない生々しい平賀譲を読み取り、おそれおおくも彼を身近に感じることができればこの上ないと考える。
野澤 久穂 東京大学工学部システム創成学科 3年
本の感想 私はもともと平賀譲については、自分の古臭い設計思想を権力で押し通した頭の固い造船官としてしか見ていなかった。しかし、その生涯において世界に影響を及ぼし、しかも教育者として辣腕を振るった人物でもあったことをこの本を通して知った。膨大な資料に基づき、伝記調で読みやすい文章でもって平賀譲という人間の軌跡を詳しく鮮やかに描いており、平賀への偏見を改めさせられると同時に、その業績をつぶさに見ることもできた。